自作セルフビレイコードの作り方 〜 衝撃吸収、安価で超軽量

セルフビレイコード、お店で売ってるパーソナルアンカーシステム(PAS)は結構なお値段ですね。そこで、7mmのナイロン細引またはプルージックコードでセルフビレイコードを安く作る方法を紹介します。自作セルフビレイコードは、安価なだけでなく、衝撃吸収や超軽量(?)というメリットもあります。

プルージックコードで自作したセフルビレイコード

このセフルビレイコードは7mmのナイロン細引またはプルージックコードで作ります。そのメリットは次の通り。

  • 既製品のPASに比べて超格安
  • ナイロンはダイニーマに比べて伸びるので墜落時に衝撃吸収する
  • 古くなったら安価に作り直して常に良い状態を保てる
  • 捨て縄として使える(安いから残置しても惜しくない)
  • 「これは捨て縄」ってことにすればPASとしての重さは理論上0g、超軽量
  • 装備の捨て縄を減らせるので荷物の総重量を軽くできる

超軽量の理屈は無理やりっぽいですが、総重量が軽くなるのでいいのです。一方、デメリットは

  • 見た目が貧乏くさい

です。こればかりは仕方ありません。

7mmナイロン細引またはプルージックコードの購入

材料は7mmナイロン細引またはプルージックコードを使います。7mmナイロン細引は柔らかめで耐荷重が十分なもの(900kg以上欲しい)。登山用品店に売ってます。対荷重は細引のリールの横に書いてあるので必ず確認します。

ただし大抵の細引は「クライミングには使用できません」と書いてあって、店員さんに相談しても「クライミングには使用できません」と言われるだけだと思います。自己責任のもと、信頼できる経験者に相談して製品を選びます。不安なら、7mmプルージックコード(プルージックロープ)がいいです。普通の細引より割高ですがクライミング用途なので安心です。

長さは2.8-3.0m使います。3m購入して仮組み、長さを調整して余分な分を切るといいです。結び目で結構な長さを消費するので完成時の長さは80-90cmくらいになります。費用は3mで700円から1000円程度。

作り方

細引を輪にしてダブルフィッシャーマンズ・ベンドで結びます。結びの末端は太さの10倍(7cm)以上出し、足に輪をかけ手で全体重をかけしっかり引き締めます。

ダブルフィッシャーマンズ・ベンドで輪にする
ダブルフィッシャーマンズ・ベンドで輪にする

ハーネス側から30cmと60cmの位置2箇所にオーバーハンドノットで結び目を作ります。この結び目は長さを切り替えるときに使います。30cmと60mの長さがあれば大抵のシーンに対応できます。60cmの位置の結び目は、2本の長さをずらして結ぶと隙間ができてカラビナをかけやすくなります。

ハーネス側から30cmと60cmの位置にオーバーハンドノットで結び目を作る
ハーネス側から30cmと60cmの位置にオーバーハンドノットで結び目を作る

先端にスリップノット(引き解け結び)またはクローブヒッチで安全環付きカラビナ(変形D型かHMS)を接続して完成です。ハーネスのビレイループまたはタイインポイントにタイオフして使います。タイインポイントは摩擦に強いですが、荷重がかかると締まってタイインポイントが適度な間隔を保てなかったり、ダブルロープのとき邪魔なので、最近はビレイループにつけています。

先端に安全環付カラビナをつけてハーネスに接続
先端に安全環付カラビナをつけてハーネスに接続

使い方

携行するときは先端のカラビナを60cmの結び目にかけてからギアループにかけます。

セフルビレイコードの携行時は60cmの位置にカラビナを掛けてギアループに掛ける
セフルビレイコードの携行時は60cmの位置にカラビナを掛けてギアループに掛ける

シーンに応じて次のように使います。

  • セルフビレイ: 60cm/最長の位置に安全環付カラビナ
  • バックアップ付き懸垂下降: 30cm/60cmの位置に下降器、ビレイループにフリクションノット
  • ユマール、自己脱出: 60cmの位置にアッセンダー/フリクションノット
  • フィックスロープ確保、ソロ登攀: 30cm/60cmの位置にアッセンダー/フリクションノット
セルフビレイしながらバックアップ付き懸垂下降のセットが自作セルフビレイコード1本で
セルフビレイしながらバックアップ付き懸垂下降のセットが自作セルフビレイコード1本で
アッセンダー2個でのフィックスロープ登攀→セルフビレイ→懸垂下降のセットも自作セルフビレイコード1本で
アッセンダー2個でのフィックスロープ登攀→セルフビレイ→懸垂下降のセットも自作セルフビレイコード1本で

耐荷重は、細引が900kgなら2本分で1800Kg、結び目で40%低下するとして10kNまで耐えられることになります。固くなったり古くなったら早めに捨て縄として使うか処分して、新しく作りましょう。