【クライミング】奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼ

2024.10.13 奥穂高岳南稜のつもりが、ルートを間違えてなぜか滝沢大滝から左上するルンゼを登ってしまいました。これが意外と登りごたえがあり、ネットや日本登山体系にも記録がなかったので紹介します。

奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼを登る、背後に滝沢大滝の柱状節理
奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼを登る、背後に滝沢大滝の柱状節理

奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼ(仮)は、6ピッチ145m、グレードはV・A0程かと思います。滝沢大滝の上段取り付きの南稜側から南陵に沿って走る狭いルンゼです。

奥穂高岳南稜ルート(青線)と滝沢大滝左ルンゼのルート(赤線)
奥穂高岳南稜ルート(青線)と滝沢大滝左ルンゼのルート(赤線)

写真の青線が北穂高岳南稜ルート、赤線が今回登ったルンゼです。南稜の取り付きから1段登り、南陵ルートはそのままルンゼを登っていくのですが、早朝の暗闇と初めての南稜というのもあり、間違えて草付きをトラバースして滝沢大滝に行ってしまいました。大滝中段を歩きで登ると見事な柱状節理の大滝上段です。その大滝上段の左に南稜沿いに走る狭いルンゼがあり、そこを登りました。

奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼ取り付き
滝沢大滝左ルンゼ取り付き

1ピッチ目はチムニー25m、グレードはIV程。浮石が多くどんなに気をつけても落石するため、ビレイは落石ルートを避けて行います。

奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼ 1ピッチ目 チムニー
1ピッチ目 チムニーを登る
奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼ 1ピッチ目 終了点から
1ピッチ目 終了点から
奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼ 2ピッチ目 チョックストーン
2ピッチ目 チョックストーン

チョックストーンの下でピッチを切り2ピッチ目。この辺りでルート間違いに気づきましたが登れば南稜に抜けるだろうということで続行。2ピッチ目が核心で、CSを越えルンゼを進むと滝が立ちはだかるので右岸の壁を登ってカンテに出るのですが、その壁がハングで登りごたえがありました。壁の途中に残置ハーケン1つあり。30mグレードV程度。カンテに出てピッチを切りました。

奥穂高岳 滝沢大滝左ルンゼ 2ピッチ目 終了点から、滝沢大滝の柱状節理
2ピッチ目 終了点から、滝沢大滝の柱状節理

3ピッチ目は草付きルンゼ20m III。4m滝の前でピッチを切りました。

4ピッチ目が厄介で、4m程のハングした滝が立ち塞がっています。クラックもありますが、残置ハーケンが1つあったのでスリングをかけてA0で突破しました。登攀が上手な人ならフリーでいけるかもしれません。35m IV・A0程度。

5ピッチ目30m III、6ピッチ目15m II は草付きのルンゼを登り稜線までハイマツ漕ぎ。易しいですが草付きで滑ると大滝まで落ちていきそうなので確保して登りました。

南稜ルンゼへ懸垂下降
南稜ルンゼへ懸垂下降

稜線に抜けると南稜ルンゼが見えます。南稜を引き続き登るなら懸垂下降せずにそのまま稜線を登れそうですが、時間がかかってしまったので岳沢まで撤退することにしました。木を始点に南稜ルンゼまで数回の懸垂下降。

カムはキャメロット#0.5と#1を使用。ロープは30m×2本でしたが、このルンゼを登るなら50mあった方がいいです。あまり登られてないようで浮石多数のため落石ルートを避けてのビレイが必須です。

ルートミスは反省点ですが、思わぬ収穫でした。南稜は翌日リベンジしました。