2025.8.23 北岳バットレス第4尾根主稜を登りました。天候に恵まれ、涼しいそよ風と壮大な展望の中、混雑もなく快適なクライミングができました。

前日
前日は白根御池小屋にテント泊。Bガリー大滝まで偵察に行きました。大樺沢の登山道にはアサギマダラがたくさん。何千kmも旅をするんですよね。

大樺沢二俣から大樺沢沿いに登っていきます。大樺沢二俣を1本目の枝沢とすると、2本目の枝沢を越えたあたりから本流沿いのトレースより1段高いトレースを進み、3本目の枝沢がバットレス沢。大きなボルダー岩が目印です。C沢の方からは水が流れてきています。

今回はバットレス沢の沢筋を登りました。C沢との間の尾根からも行けますが、尾根は分岐が分かりにくかったり草付きだったりザレてる箇所があり、沢筋の方が登りやすく感じました。Bガリー大滝が見えてきたら尾根でも沢筋でも歩きやすい所を適当に登ります。

アプローチのルートを確認したら白根御池小屋に戻ります。朝は暗いうちからアプローチを登る必要があり迷いやすいので、明るいときにルートを下見しておくといいですね。
Bガリー大滝
翌朝、大樺沢からバットレス沢を登りBガリー大滝へ取り付きます。

Bガリー1ピッチ目。易しい岩なので私は第4尾根主稜取り付きまでアプローチシューズのまま登りました。傾斜はあるのでロープは出した方が安全ですね。
今回はつるべでパートナーと交互にリードしました。1ピッチ目は自分がリード。



2ピッチ登ったら、コンテに切り替えてヒドンスラブ取り付きまで歩きます。
Bガリー大滝の右岸側へザレたトレースを登ります。

トラバースで小尾根を越えてCガリーへ降ります。

Cガリー大滝、ヒドンスラブ
Cガリーを渡り、Cガリー右岸を数十m登るとペンキで「4」と書かれたヒドンスラブ。

ヒドンスラブは念のためスタッカットで登りましたが、コンテでそのまま登っても大丈夫そうでした。
北岳バットレス第4尾根主稜
ようやく第4尾根主稜の取り付きに到着しました。クライミングシューズに履き替えます。ここまでのアプローチが迷いやすくて長くて大変ですね。もうゴールしたも同然です。自分たち以外に先行パーティは1パーティだけ、ずっと先を登っていて順番待ちなし。
第4尾根主稜の1ピッチ目は第一核心のハンドクラック。クラックは磨かれていてツルツル滑るので、フットジャムをしっかり効かせて登ります。

2ピッチ目はスラブから右に回り込みます。その先の3ピッチ目、4ピッチ目はやさしいクラックやフェイスです。1ピッチ目から4ピッチ目までは合計110mくらいの様で、ピッチの切り方次第ですが3ピッチで登れました。

5ピッチ目は第二核心と言われるフェイスからリッジ。カチを丁寧に拾っていけば大丈夫です。

高度感のあるリッジ。展望が最高です。

次に登るスラブや城塞ハングがよく見えます。

マッチ箱から残置支点を使って次のピッチの取り付きに懸垂下降。

6ピッチ目のスラブを登ります。振り返って見るマッチ箱がカッコいい。

スラブの中間でピッチを切り、7ピッチ目はルンゼを選びました。

そのまま城塞ハングの下まで行ってもいいですが、つるべの順番の関係で枯れ木テラスで一旦ピッチを切りました。枯れ木テラスの裏は2010年に大崩落したようでスパッと切れ落ちています。


リッジをトラバースして、最後の9ピッチ目 城塞ハングを登ります。
登ってみると見た目より被った感じがしましたが、チムニーに入って背中を使ったワイド登りで楽に登れました。フェイスが得意な人は体を外に出してフェイス登り、クラックが得意な人はチムニーに入るといいようです。

第4尾根主稜を登り切りました。そよ風が気持ちいい。鳳凰三山がよく見えます。

北岳山頂
トレースを歩いて登山道へ向かいます。そして北岳山頂へ。

高山植物の花がたくさん咲いてました。


絶滅危惧種のタカネマンテマも。花の時期が過ぎて枯れてましたが。

ここからの下山がまた長くて大変ですが、登り切った充実感はありました。次に来たら別のルートを登ってみたいです。
装備
今回の装備は、シングルロープ50m、カムはキャメロット#0.4〜#3を1セット。残置ハーケンやボルトがあるのでルート通り登るならカムは数個でいいですが、先行パーティーと並行して登ったり追い抜くためにルートをずらしたり残置支点を使わなかったり、ピッチを変則的に切ったりするならカムは余分にあった方がいいですね。
ロープは50mで十分ですが60mの方が2ピッチまとめて登れるので効率的なようです。ロープの流れはプロテクションを上手に取れば悪くはならないのでシングルロープで大丈夫でした。
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