三ツ峠 ワイドクラック入門ルート

三ツ峠山 屏風岩でワイドクラックのルートばかりを登ってきました。三つ峠にはやさしいワイドクラックのルートがいくつもあり、残置支点も豊富なのでワイドクラック入門にうってつけです。

権兵衛チムニー
権兵衛チムニー

三ツ峠登山口から三ツ峠裏登山道を1時間ちょっと。三ツ峠山荘のお犬様達が吠える横を通って階段を降りていくと巨大な屏風岩と富士山が迎えてくれます。屏風岩の右フェースは三つのバンドと四段の岩壁で構成され、そこに多数のクライミングルートが走ってます。III〜Vが中心の易しいグレードが多く、アルパインチックなクラックルートやフェイスルートからボルトのフリールートも混在。クラックルートは残置ハーケンもあり、アルパイン初心者のクラック練習やカムセット練習に適した岩場です。

そして今回はワイドクラックを中心にルートを選んで登ってみました。今回は3人なので50mダブルロープでリード&フォロー。このエリアは50mシングルロープで大体足りますが、ダブルロープなら懸垂下降が2バンドずつまとめてできます。ただしバンドには沢山の小石があり落石させやすいので注意。下に人がいるときは袋入れ懸垂が無難です。

このエリアのクラックルートを登るにはカム(キャメロット#0.5-#3)が1セット、ヌンチャクとアルパインヌンチャクが合計10本程あれば大体足ります。カラビナが通らないハーケンもあるのでアルパインヌンチャク多めで。ワイドクラックを登るなら大きめのカム(キャメロット#4-#5)もあると安心。

登山道 一般ルート右 III+

一番下の登山道が取り付きの壁は、クラックらしいルートがなくフェイスルートばかりで、初心者さんや団体パーティーで混雑しやすいこともあり、適当なルートを登って第一バンドに取り付きます。「一般ルート右 III+」「一般ルート中 IV+」「リーダーピッチ IV+」が登りやすいと思います。ボルトや残置ハーケンがあるのでカム不要です。

一般ルート右
中央の大きな凹みを通るルートが「一般ルート右」

第一バンド サンドイッチ III

第一バンドには沢山のクラックルートがあり、クラックを沢山やりたいときはこの第一バンド〜第二バンドを登り降りするのがおすすめ。今回はワイドクラック入門ということで、一番易しい「サンドイッチ III」を登りました。サンドイッチの取り付きに行くには大きなテラスからバンドを右にトラバースします。フリーが不安なら確保してトラバースしましょう。

サンドイッチ
サンドイッチ III

「サンドイッチ」は幅30-40cm程の狭いチムニー。傾斜が緩いのでワイド初心者でもレッグバーやアームバーなどのワイド登りのテクニックが簡単に試せます。チムニー内は支点が取れないので不安ならチムニー脇にカム(キャメロット#4)をセット。ザックは背負えないのでたすき掛けで。

サンドイッチのすぐ左には大きく開いたチムニーの「オープンサンド V-」がありますが、下にフレアしたチムニーでグレード以上に難しく感じるので初級者は避けるか、サンドイッチを登ってトップロープを張るのが無難です。

第一バンドには他に多数のハンドクラックがあり、どれもおすすめです。

第二バンド No.15クラック IV+ 〜 No.14クラック IV+

第二バンドから第三バンドまでは階段状の易しいルートII〜IIIが続きますが、その左にフィスト〜オフウィズスのクラックが走っています。

第二バンドの左寄りに2本のハンド〜フィストクラックがありますが、左側のフィストサイズのクラックが「No.15クラック IV+」です。残置ハーケン1本あり。ややフレアしていてハンドクラックの登り方ではちょっと苦労しますが、オフウィズスの登り方だと楽に登れるようです。カム未使用。

No.15クラック
No.15クラック

短いNo.15クラックを登るとすぐあるオフウィズスが「No.14クラック IV+」。残置支点はなくキャメロット#3-#5あたりを使った気がします。傾斜緩めでオフウィズスの練習がしやすいです。No.14クラックを抜けると終了点はなくリングボルト1個だけなので、そのまま第三バンドの終了点まで階段状を登ります。

第三バンド 権兵衛チムニー V-

第三バンドを左に20m程歩いて行きバンドを塞ぐように生えている太い木を超えると「権兵衛チムニー V-」。長くて入り組んだチムニーが上に伸びています。取り付きにはハンガーボルト2つあり。

権兵衛チムニー
権兵衛チムニー

この権兵衛チムニーが面白いルートで、クラックから体を出して登るとステミングやバック&フットだけでもある程度登れてしまいますが、体をクラックの奥に入れればオフウィズスから各幅のチムニーサイズまで、色々なワイドクラックのテクニックを駆使して登れる楽しいルートです。

残置ハーケンがありますが間隔は広めなので、キャメロット#1-#4程度のカムが数本あると安心です。

ルート長は30m程ですが、懸垂下降は50mロープ1本でギリギリ足ります。懸垂下降するときはすっぽ抜けや回収時のスタックに注意。終了点から右にトラバースすれば天狗の踊り場に出ることもできます。今回はザックを取り付きに置いて登ったので同ルートを懸垂下降。

第一バンド クーロワール V

第三バンドの終了点から懸垂下降して再び第一バンドに戻り、「クーロワール V」を登りました。クーロワールはチムニーというより、浅いルンゼ状のフェイスのようなルートで、最後にややかぶったハンドクラックの乗越だけ難しいです。足が滑りやすくムーブが分からないとちょっと苦戦します。ボルトがありますが一箇所ランナウトしてたのでキャメロット#4くらいを使った気がします。

今回登った他に、右フェースの東面の「第一クラック」横にもワイドクラックがあるようなので、次はそちらも登ってみたいです。