自作プルージックコードの作り方とフリクションノットのコツ

クライミングでは、懸垂下降のバックアップ、フィックスロープ確保、ユマーリング、セルフレスキューなど、フリクションノットを使う場面が多くあります。そのフリクションノットで使うプルージックコードの作り方です。

市販のダイニーマ製スリングは熱に弱いため、ロープがスライドする箇所のフリクションノットで使うと摩擦熱で溶融する危険性がありますが、ナイロンの細引で自作するプルージックコードは熱に強く、安価なので躊躇なく捨て縄にできるメリットもあります。

自作プルージックコード
自作プルージックコード

細引きの購入

材料は6〜7mmのナイロン細引、または7mmプルージックロープを切り売りで購入します。最近のメインロープは細くなってきていて7mmだとフリクションが効きにくいことが多いので6mmがおすすめです。しかし公的(?)には7mm以上ないと良くないということになっているので、心配なら7mmにしましょう。

ナイロン細引は柔らかめで耐荷重が十分なもの(6mmなら700kg以上、7mmなら900kg以上)。登山用品店に売ってます。対荷重は細引のリールの横に書いてあるので必ず確認します。ただし大抵の細引は「クライミングには使用できません」と書いてあって、店員さんに相談しても「クライミングには使用できません」と言われるだけだと思います。細引きが不安なら7mmプルージックロープがいいです。自己責任のもと、信頼できる経験者に相談して製品を選びましょう。

細引の長さは6mmなら1.5m、7mmなら気持ち長めに1.6mくらいがいいです。結び目で50cmほど消費するので完成時の長さは50-55cmくらいになります。切り売りは大抵1m単位なので、3m購入して半分に切って2本作るか、捨て縄用に10mほど購入して必要な長さを切り出します。切った細引の末端はほつれないようにライターで炙って固めます。

6mmナイロン細引1.5m

市販(完成品)のプルージックコード

7mmでは効きにくい、でも6mm細引は不安という方は、自作ではなく市販のケブラー(アラミド)製ソウン・プルージックコード(約6mm、50cm前後のループ状の完成品)を購入するといいです。切り売りのケブラーコードを購入して自作する方法もありますが、ケブラーコードは加工しにくく自作はちょっと大変です。

作り方

1.5-1.6mの細引またはプルージックロープを輪にして、ダブルフィッシャーマンズ・ベンドで結びます。結びの末端は太さの10倍(6-7cm)以上出します。足に輪をかけ手で全体重をかけてしっかり引き締めれば完成です。

自作プルージックコード
自作プルージックコード50cm(6mmナイロン細引)

フリクションノットのコツ

自作プルージックコードで実際にフリクションノットをするとこんな感じになります。

フリクションノット「マッシャー」
フリクションノット「マッシャー(オートブロック)」(動かしやすいので、懸垂下降のバックアップ、フィックスロープ確保、ユマーリング(登り返し)、引き上げシステム等に)
フリクションノット「クレイムハイスト」
フリクションノット「クレイムハイスト」(一方向に効く、制動が強いのでロープへのビレイポイント構築、テンションを移す、細木や根へのプロテクション等に)
フリクションノット「ブリッジ・プルージック」
フリクションノット「(ブリッジ)プルージック」(双方向に効く、片手で結べるので、トラバースでのフィックスロープ確保、片手しか使えないとき、細木や根へのプロテクション等に)

フリクションノットのコツは、プルージックコード同士が重なったり捻れたりしないように綺麗に巻くことです。綺麗に巻かないと制動力が下がります。

フリクションノットの巻き数は、ロープの太さや状況で変えます。マッシャー(オートブロック)なら巻けるだけ巻く(5-6巻)、クレイムハイストやプルージックなら4-5巻(1巻で制動が大きく変わるので要調整、動かさないときは巻けるだけ巻く)、メインロープが細いときや7mmプルージックコードのときは1-2巻多めに巻く、といった感じです。

フリクションノットをセットしたら必ず効きをテストしてから使用します。